「長野へ」
2017年1月、僕は、瞑想の小林先生に連れられ、長野の片田舎にいた。
手足はちぎれるほど寒く、
真夏のシドニーからやってきた僕には、強烈な寒さに体が縮み上がっていた。
その頃は、まだ、パニック発作を抱えていて、
新幹線に乗って長野まで移動するのは、至難の技だった。
何度も、立ち止まり、深呼吸をしながら、
コップの水をこぼさない様に慎重に足を運んだ。
長野までやってきた理由は、占い師のリリーさんに会う為だった。
2ヶ月前の2016年12月に、
瞑想の小林先生から初めてのスモークヒーリングを受け、
大絶叫をしたからだ。
「カオルさんの、パニックの原因はこれですね・・」と小林先生は教えてくれた。
何か憑依しているので、
リリーさんに相談した方が良いとのアドバイスをしてくれたからだ。
長野の片田舎にある駅で、小林先生と落ち合った。
外は青空が広がり、
太陽の光が白く地面に積もった雪にキラキラと反射していた。
小さな駅の待合室で、僕と小林先生は、
迎えの車が来るまで世間話をした。
お互いに生活の拠点が、オーストラリアだから、
シドニーとメルボルンの生活や、不動産、ワイン、バケーションの過ごし方など、
他愛のない話をしていた。
小林先生の本業は、大手外資系企業のアジア地域の統括部長なのだが、
とても自由に生きている人だった。
学生時代には、超有名なヴィジュアル系ロックバンドと
一緒に活動していたと話してくれた。
バンドのリーダは、とてもカリスマ的な人で、ピアノもドラムも卓越した技術を持っている。
彼が怒るだけで、目の前のガラスの灰皿が割れるほど、サイキックだと、楽しげに教えてくれた。舞台裏の事情を教えてくれた。
小林先生は、世間で言う瞑想の先生という印象は皆無だった。
「占い師リリーさん」
「どうぞ」とリリーさんが、ガチャリとドアを開けて迎え下くれた。
リリーさんは、細身の女性で、リリーというスピリチュアルネームみたいに
ユリの花が似合いそうな優しい雰囲気の女性だった。
とても大きな別荘のような洋館で、
ゆうに10人はゲストが宿泊できそうな豪華な家だった。
僕達は、リビングあるオーバル状の樫の木のテーブルに案内された。
外国の家みたいに天井がとも高く、空気は心地よく冷たかった。
慌ただしいお正月も終わり、なんだか、ほっと一息をついている、
リビングの様に感じた。
“私達の声が聞こえるだろうか?永遠からの囁きだ、私達は貴方がここに来るのを待っていた。貴方には、私達の声が聞こえるだろうか?
私達も、貴方の物語に参加していたのだ、全てを一緒に見ていたのだ、気がついたかい?あなたは、一人ではないのだよ・・“
リリーさんは、30代の日本人女性で長野の山奥にある洋館に、ドイツ人の旦那さん、ハンスと一緒に住んでいた。
僕の右隣には、小林先生が座り、正面には、リリーさん、斜め前には
リリーさんのご主人のハンスが座っていた。
ハンスは、細身のリリーさんとは対照的で、大柄でガッチリとした体格をしていた、頭はツルリとしていて、まるで青い目の僧侶みたいな印象だった。
日本には、もう、かれこれ20年以上も住んでいると、身振り手振りを交えて教えてくれた。
流暢に日本語を操っている彼の瞳は、天使の様に透き通っているのに僕は気がついた。
そういえば、どれだけ清らかな魂をもっているか?
知りたければ、その人の目を見れば良い・・・と誰かが教えてくれたことを思い出した。
ハンスも、僕みたいに、スピリチュアルな覚醒が10年以上も前に起こり、
パニック発作や、不眠を体験したと教えてくれた。
リリーさんは、突然立ち上がり、マッチでセージの葉に火をつけると、
なんだかネイティブインディアンを思い起こす、香りの白い煙が
ゆらゆらと立ち上がった。
金属のチェーンの付いた、褐色色の金属製の香炉に
白い煙の出ているセージの葉を入れた。
リリーさんは、玄関まで往復したり、部屋の隅々まで、煙を行き届かせようとしているみたいだった。
僕は、ガラスのキャビネットに、たくさんの天然石入っているの見つけた。
白く濁った水晶や、黒っぽい天然石、紫色のアメジストなど、
キラキラとした石が所狭しと並んでいた。
そういば、パトリシアも天然石が大好きだよな、
スピリチュアルに目覚めると、みんな天然石に惹かれるのだろうか?と僕は思った。
今では僕も一端の天然石の専門家みたいなものだけど、
当時は天然石については何も知識はなかった。
「スピリチュアルに目覚めると、色んな種類の天然石が必要になるよ」とハンスは教えてくれた。
「自分にあった天然石を選ぶコツはあるんですか?」と質問すると
「それはね、自分で選ぶんじゃなくて、天然石が人を選ぶんですよ」と、ハンス。
意外な答えだったので、ビックリした。
天然石が人を選ぶんなんて、初めて聞いたけど、
なんだかシックリする感じがした。
ハンスはこの長野の大地に、西洋のエンジェリックなエネルギーを
根付かせるとのだと、夫婦で何度も土地と家を探し回り、
瞑想の中で浮かんだこの場所にようやく、たどり着いたのだと教えてくれた。
「だから、この洋館には、本当に呼ばれた人しか辿り着けないのよ・・」と
リリーさんは、香炉をテーブルに傍らにおき、椅子にすわった。
お皿の上に盛られた、おはぎに手をのばし、美味しそうにほうばった。
彼女はスマホで、僕の名前と誕生日をもとに、何かを調べながら、
テーブルの斜向かいに座った僕のことを、時折チラリと見ていた。
「しかし、小林さんも、凄い人を連れてきたわね。空間が歪んじゃうし…」
「カオルさんが、家にいらっしゃったら、家全体に結界を貼られたのよ」とリリーさん。
「いや、そうなんですよ。今までの生徒中でカオルさんは一番凄いですよ」と小林先生は答えた。
「今朝炊いた、発行玄米の仕上がりがいまいちだったんだよね」とハンス
「きっと、カオルさん気がついていないわね。こりゃ、悪魔との戦いになるわ…」とリリーさんは呟いた。
僕には、何のことだかさっぱり分からなかった。
どうやら、僕の何かが…影響している様だった。
「初めて対面リーディング」
僕が、スピリチュアルというものに目覚めて、
最初に出会ったのが、SGM瞑想の小林先生で、
そして、次に出会ったのが占い師のリリーさんだった。
これが僕の壮大なスピリチュアルな旅路の始まりであり、
ここから沢山のライトワーカと呼ばれる人達と出会ってゆく。
その序論のような出来事だった。
“神様はいつも、壮大な物語の中にちょっとした、
キャンディを忍ばせておくものさ・・
予想もしないところに、スパイスが仕込まれていると、いいだろう?
その方が、人生に花が咲くというものさ、そのスパイスには、愛があり、
あなたが本当の求めているものが、あるはずさ…“
とマスターマーリンの声が聞こえる。
そんな、奇跡の中に僕たちは住んでいるのだ。
*
初めての対面リーディングはとても不思議な体験だった。
僕は、2階にある和室の部屋に案内された。
窓側には、小さな丸いテーブルがあり、椅子が置かれている。
僕たちは、向かい合う様にして椅子に座った。
長野の空は青く、窓からが柔らかな陽射しが、差し込んでいる。
「始めましょうか?」とリリーさんは、僕のことを見て微笑んだ。
彼女は目を軽く閉じると、トランス状態に入った
「青い小さな星が見えます・・」とリーディングが始まった。
「青い小さな星」
“地球の様に青い星、いや、少し緑がかっているのだろうか?

オーストラリア在住21年の筆者が、自然療法であるホメオパシーでパニック発作を治療したところ、苦難の末、壮大な一瞥体験をし、2015年にスピリチュアルに覚醒した体験記。
”冗談だろう? 人生って、ジョークだったのか? あまりの可笑しさに、僕は笑いが込み上げてきた。 僕たちは、人生というドラマの傍観者だったのだ。でも、そこには愛が満ち溢れている。 いや、どこもかしこも、愛でギッチリ溢れているのだ。” 〜本文より〜
【こんな方におすすめ】
・自然医療に興味のある方
・悟り体験に興味のある方
・クンダリーニ覚醒に興味のある方
・スピリチュアルな浄化体験に興味のある方