2019年〜2020年までのお話。
「ワークショップへの参加」
SGMのワークショップは、
自然の豊かな千葉県と茨城の県境にある、
ホビットハウスの様な、古民家で開催される。
東京駅から、随分長い間、電車にガタゴトと揺られ、
最寄りの駅で下車をした。
駅の階段に塗られたペンキは所々剥げ、赤錆が覗いていた。
僕は、瞑想の伝授(プージャの儀式)に必要は、花束を片手にもち、
階段を下っていた。
無人駅で過疎化が進んでいるのか、随分と草臥れた駅の様に思えた。
駅前のロータリーには、人の気配が感じられなく、
事前に調べたのだけれど、バスは2時間に1本程しか走っていない様だ。
でも、バスの停留所の待合室の、
すぐそばには、タクシーが一台止まっていた。
タクシーの前で、ポケットを手に入れ、
美味しそうに煙草をのんでいる運転手さんに、
郊外の民家まで連れて行ってくれますか?
と尋ねたところ、
このタクシーは、地元の人たち送迎の専門だから、
申し訳ないけど、乗車は出来ないよ、と教えてくれた。
街の予算が減り、バスの本数が削減されので、
地元の人たち専用のタクシーだと言った。
タクシーの運転手さんと、会話をしていると、
駅の階段から一人の男性が降り、
こちらにやってっくるのに気がついた。
彼も、僕と同じ様に花束を片手に持っている。
プージャの儀式に花と果物は必須なのだ。
神への供物である、花、果物、火、聖水の揃わないプージャは、
種のない果実の様に、意味をなさないのだ。
彼が手にしている花束を見て、
彼はもワークショップに参加するに違いないと確信した。
「もしかして、SGMのワークショップに参加されるのですか?」と僕はたずねた。
「そうですよ」と答えた。
薄手のトレンチコートを着ている彼は、
スラッと細身で、肩幅はガッチリとしていた。
肌は白く、なんだか神社の神主さんが、
都会に抜け出してきた様な人だった。
そして、私の宇宙の歯車は、前後にギシギシと激しく
前後に揺れながら、
まるで、人生の裂け目のようなジャングルの奥地に
臨時にかけられた、吊橋を渡り始めた様だった。
起こるべきことが起こると、魂は喜ぶものだ。
会うべき人が自分に前に現れると、人生も捨てたものではない…と
感じるものだ。
でも、僕が、これから出会おうとしている人々は、
僕にとっては、とても大切な人々であり、そして、僕の数々の人生を狂わせた人でもあるのだ。
良いかな?人生とはそんなものだ、スリリングでエキサイティングな物語の方が、楽しいのではないか?
間違いというものが、人生の選択肢にないのであれば、
これから、起こることに身を委ねてみれば良いのでは、ないだろうか?
僕は、人生を委ねているつもりは、全然なかった、
でも、自分のハートが喜んでいることは、わかった、だけれども、ハートで選択したことと、理性が考えることが、真逆だったりすることも、
あるのではないだろうか?
トレンチコートを着た彼とは、
初対面なの意気投合した。旧知の仲の様に思えた。
まるで、僕達が同じことをいつも、考えていて、
人生と呼ばれる迷宮の、枝葉に別れた葉脈が、
偶然重なりあった様な、そんな不思議な出会いだ。
”こんにちは、私の愛しい人よ。
あれから、何千年もの月日は経ったのだけれど、
あなたは、いつも変わっていないようだね。
いつの日か、もっと身近に私達のことを
感じることが出来る様になれば、
いったい、親愛なるあなたに、何が起こったのかを
分かることが出来る様になるよ。
それまでは、秘密は、秘密で、
しまっておくと良いでしょう”
*
彼と話していると、
マスター・ババジへの想い、
インド哲学、サーンキヤの教えのなど、
どこか僕の魂が遠くに忘れてしまった、
懐かしい、太古の記憶が蘇ってくる様で、
とても、不思議な感覚がする
それは、まるで、偶然と運命と宿命が
複雑に交差する街角で、
出会った女の子の表情を思い出す様でもある
なぜだろう?
人生で、いままで、マスター・ババジや
サーンキヤの教えを意識したことは、
一度もない…
その言葉の深淵なる輝きは、
とてもすすぐったく、甘い響きの様に感じる。
*
先生の名前は、山鹿先生と言った。
山鹿先生と僕は、ワークショップのお昼やすみに、
他の参加者をそっちのけで、「悟りに」ついて、
二人で熱く語り合った。
周囲の人たちは、意気投合ふたりをみて、唖然としている。
*
魂は、死なない。永遠の魂は、死ぬことはないのだけれど、
傷つくことは、あるのさ
何百万年もの、気の遠くなるほど、昔と呼ばれる未来から、
聞こえるのは、”帰還”というメッセージだ。
私達は、死ぬことはないのだけれど、傷つくことはあり、
どこか懐かしい記憶は、必ず私達の中に眠っていて、
その香りを辿ってゆくならば、故郷へ帰還することが
できるのだ。
もっとも、自分の戻るべき、場所がまだ残っていればの
話しなのだけれど。だけれども、希望を繋ぐのは良いことだ、
過去に希望とう種をまけば、かならず、未来が良くなるものさ。
僕には、
過去と未来と今が同時に視えている。
輪廻を越えて、生きるのが、目的なのだから。
*
ワークショップへの参加は、不思議な出会いに満ちていた。この時に出会った仲間と、これから、しばらくの間、
運命と宿命と無限の可能性に満ちた、人生を共に歩むことになった。
「エンジェルナンバー90909090」
シドニーへ戻り、エンジニアとしての仕事が始まった。
仕事は、大手企業のPOSシステムの開発だった。
50人ほどいるエンジニアのうち半分は、
中国系の人たちで、残りの半分はインド人だった。
日本人は僕だけだったが、
僕の過去生の魂の流れが、インドだったせいか、
ランチタイムは、インド人のグループに混ぜてもらい
食事を共にした。
昔から、インド人と縁があるのは、偶然とは思えない。
不思議と、ピンチになると彼らが現れ助けてくれるのだ。
そうだ、僕にはクンダリーニヨガの先生から、
もらった、スピリチュアル・ネームがあった。
僕のインドの名前は、”シムラン”だと、インド人にみんなに伝えると、
どーっと笑いがおきた。
「女の子みたいな」名前だな、と反応が帰ってきた。
これから、あなたのことを”シムラン”と呼ぶわね、と一人の女性が言った。彼女の名前はインディ。
*
無機質なオフィスで、緊張しながら、
複雑な仕様書とにらめっこしていると、気がめいり、
逃げたしたい気分で一杯だった。
まるで、駆け出しのSE時代に戻った時の様な仕事だった。
20年前は、若くで元気だっけど、
いまは、パニック発作持ちの、ベジタリアンだ。
何か大きな、岩と岩の裂け目にはまり込んでしまった様な
気分だった。
果たして、僕は…ここから、抜け出すことは出来るのだろうか?
人生とは、果たして、ラビリンス(迷宮)という意味だったのだろうか?
30分、仕様書を眺めていると、時折気が遠くなった。
外の新鮮な空気を吸わなければ、
また、職場で倒れてしまうのでは?と思った。
今の自分と、20年前の自分は、まるで、違う人物なのに、
またしても、同じ仕事に就いてしまった。
1年程前、シドニー在住の占い師に、
僕の仕事運について視てもらったことがある。
あと数年は、無職で過ごした方が良いとアドバイスをくれた・
なんでも、今、掴む仕事は、すべて人間関係に難があるのだと
教えてくれた。
だけれども、家族からのプレッシャーもあり、ジョンの祝福ももらい、
仕事をなんとか見つけたのだから、贅沢なことは言ってられない。
*
僕には、なぜか二人の上司がいた、
ともに大柄なブラジル人で、
柔術で黒帯を持っいる有段者だったから、
筋肉隆々で立派な体格をしていた。
きっと僕が、戦いのテーマを持つ魂だったから、彼らを引き寄せたのかもしれないな、と思った。
悪い人たちではなかったが、感情の起伏がとても激しい上司達だった。
ある時は陽気でも、次の日には、
キーボートをテーブルに突然投げつけ、大声で怒鳴っていた。
*
大手フランチャイズ・レストランの下請けソフトベンダーだったので、
とても過酷な労働環境にあった。
安い賃金で、プログラマーが倉庫の様なオフィスに集められ、
ボロ雑巾の様に上司に使われていた。
正直、奴隷船の船底の様な、職場だった。
*
初めて参加した、クライアントとのミーティングで、
インド人の女性クライアントから、
「納期は6ヶ月も遅れているのよ!どうしてくれるの!」と
罵声を浴びせられたのには驚いた。
日本のクライアントからも同様に、入社の初日から叱咤された。
どうやら複雑な人間関係が裏にあり、
上司には嫌いな人がいるので、その人に退職圧力をかけ、
僕がその穴埋めになるのだと、聞かされた。
まるで、蟹工船の様な職場だった。
納期を間に合させるために、屈強なブラジル人上司が、
船底から疲弊した中国系のエンジニア数人を
東京のクライアントのもとへ何度も輸送した。
*
家族の為とはいえ、職場に足を運ぶのが、本当に嫌だった。
サラリーマン生活に戻るなんて、
僕のスピリチュアルなジャーニーに、蓋をされた様に思った。
”そんな状況でも、宇宙はいつも仲良くしてくれるものさ…
あなたが心を開けばね、の話しだけれども、
いつも、サインはあるはずさ、
それは、良いサインかもしれないし、
悪いサインかもしれない、
でも、その点々とつづく、滲みの様な、点を追いかけてゆけば、
必ずどこかには、辿り着くんじゃないかな?
何もせずに、箱の中に入っていても、人生は終わるし、それなりに楽しいだろう、
箱の外に出ても、結局は人生は終わってしまう。
最善の人生なんて、本当は、ただの幻想なのかもしれないね。
でも、歩き続ける限り、必ずサインはやってくるはず…なのさ”
*
そんな宇宙の図らいもあってか、
僕のすぐ隣の席には、インド人の女性が座っていた、
彼女の名前は、インディプリー、”インディ”と
みんなに呼ばれている。
とっても、おっちょこちょいで、
僕が職場にいた数ヶ月の間に
マグカップに並々と注がれたコーヒーを
ガチャンと派手に2回もノートパソコンの上に
こぼし、パソコンを壊してしまった。
彼女がそうそうを「キャー」と悲鳴をあげると、
ブラジル人の上司が彼女のもとに
飛んでやってきて、
「怪我はなかいったかい?お嬢さん」と
感情豊かに話しかけるのが、とても印象的だった。
ブラジル人は、単に、感情の豊かな人たちなのだと思った。
*
僕が、入社した当日、隣の席にいる、ご近所のインディは、
机の傍らまで、椅子に座ったまま、足で押しながら、やってきた。
そして、僕の顔をまじまじと見てこう言った。
「あなた、瞑想やってるでしょう?」と彼女。
「え? そうだけど…なぜ分かったの?」
「顔がピカピカしてるわよ」
「昔、親戚の叔父さんが瞑想とヨガをやってたんだけど、
あなたの雰囲気、オジサンにそっくりなのよ」と教えてくれた。
意外な出来事に僕は驚いた。
ITの職場は、冷たくてギスギスした印象だったけど、
こんな職場にも、天使はいるのだと…と嬉しくおもい、
仲間が出来たことを喜んだ。
彼女は、僕のことをシムランと呼んでくれた。
インディが、瞑想を教えて欲しいというので、昼休みに二人で、近くの公園に行き瞑想をしたりした。
大変な仕事だったけれど、人と繋がることは悪いことではなかった。
エンジェルナンバーも頻繁に現れた、
レシートの番号が、
毎回1111・4444・1144だったのには、驚いた。
神さまは、僕のことを見捨ては、いないんだ…と思った。
でも、本当にこの職場にととまり続けることが、
僕にとって、最善のことなのか、疑問だった。
*
入社してから、徐々にストレスが溜まってきた。
毎朝、4時に起床して、ヨガのクリアをやり、瞑想をして、
職場に向かった。
新しい仕事に早く慣れようと、
週末も仕様書を読み込んでいた。
だけれども、慣れない仕事のせいか、疲労が次第に溜まってきた。
真夜中にパニック発作が起こり、頻繁に目が覚める様になった。
まるで、3年前の不健康な自分に逆戻りしたかの様だった。
やりたくない仕事、
でも、家族を養わなければならない責任、
でも、本当は、瞑想とヨガの先生になりたい、
スピリチュアルな生き方をしたいと思う気持ちの
板挟みになっていた。
入社してから、3ヶ月が経過したある日。
職場で緊急案件をまかされた。
問題が発生しているので、大至急、設計変更が必要だと上司から言われた。
前任者が設計した内容を理解しながら、仕様を変更しなければならない、午後5時までには、クライアントに提出しする様にと言われている。
想像以上に複雑で、パソコンに向かうだけで、
気分が悪くなり倒れそうだった。
本当に、僕は…この仕事を続けるのだろうか?
仕事に集中することは出来ず、仕事を辞めるべきか?
でもお金はどうするのだ?と何度も、何度も頭の中で繰り返し思った。
頭の中がグルグルと押し問答を続ける、顔からスッと血の気が引き、パニック発作おきそうだった。
このままでは、また倒れてしまう…と思った。
仕様書のドラフト版を完成させると、
結論部分の最終の値が、09090909と導き出されていた。
緊急の案件なのは分かるけれど、
僕の、体がこれ以上、持たないのは明らかだった。
早朝からヨガと瞑想もやり、ジョンからも仕事が上手くいく様にと、
祝福をもらってきた。
これ以上、僕は、どんな努力をすれば良いのだ?!と思った。
…もう限界だと思った。
僕は、職場の人事の女性に
「体調不良なので、早退します…」と告げて職場を後しにた。
無機質なオフィスのエントランスを出ると、正直ホッとした…
でも、これから僕はどうしたらいいのだろう?と思った。
悪いことは重なるもので、駅に向かう途中の駐車場で、
喫煙中の上司とバッタリ出くわした。
緊急案件を僕に依頼した上司だった。
「おい、逃げるのか!!」と、彼はすごい剣幕でまくし立てた。
その場を早足で逃げ切る様に足し去った。
なんてタイミングが悪いのだろう?と僕は思った。
翌日、退職届の上司の机に置き、
逃げ出すように職場を去った。
「足取りは重い」
もちろん、自宅への足取りは重い。
<続>
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オーストラリア在住21年の筆者が、自然療法であるホメオパシーでパニック発作を治療したところ、苦難の末、壮大な一瞥体験をし、2015年にスピリチュアルに覚醒した体験記。
”冗談だろう? 人生って、ジョークだったのか? あまりの可笑しさに、僕は笑いが込み上げてきた。 僕たちは、人生というドラマの傍観者だったのだ。でも、そこには愛が満ち溢れている。 いや、どこもかしこも、愛でギッチリ溢れているのだ。” 〜本文より〜
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