ホメオパシーでスピリチュアルに覚醒した私

2005年5月。
ノースシドニーの8階にある
オフィスの窓から外を眺めると、
立ち並ぶビルの谷間から、
深みを帯びたブルーの海と、
真っ白い貝殻を
重ね合わせた形をしたオペラハウスが、
遠くに輝いて見える。
時折、白い帆を掲げたヨットがゆっくりと、
滑るように横切ってゆく。
地中海の沿岸部の街並みの様に見え、
懐かしい感じもする。
南半球にいるのに、
はるか彼方のヨーロッパに思いを馳せるなんて、
なんだか不思議な感じがした。
僕は、膨大な未読のメールの山を眺めながら、
眉間にシワを寄せながら、
真剣この現実世界の迷宮で、迷子になっていた。
ふとモニターに目をやると、
チカチカと何か点滅するのに気がついた。
日本のオフィスの同僚の
在籍ステータスがオンになったのだ。
シドニーとの時差は1時間だから、
東京の時刻はまだ午前8時。
同僚の彼にチャットで、話しかけようと思い、
キーボードをカチャカチャと叩き始めた。
送信ボタンを押そうとした瞬間、僕の手が止まった。
ふと思った…
なんだか、彼の様子はいつもと違う様な気がする。
風邪でもひいているのだろうか?
少し戸惑っていると、
東京にいるその同僚からメールが送られてきた。
“カオルさん、今日は、体調が悪いので休ませてもらいます”との
内容だった。
*
最近、直感の様なものが鋭くなったと思う。
少し、敏感な人なら、そんなこともあるかもしれない。
そういえば、連続した数字を頻繁に、
毎日の様に見ることがあった。
仕事中、画面の隅にチラリと視線を落とすと、
いつも11:11もしくは、4:44と表示されていた。
まるで、11:11と4:44が僕のことを追いかけているみたいだった。
小学生の頃ゲームで遊んでいると、
必ず画面の隅に表示される
4:44の数字を見ていたなあ…と懐かしく思った。
不思議な連続した数字のことを、
ちょっとスピリチュアルに詳しい女の友人に尋ねてみた。
「それって、エンジェルナンバーよ」と彼女は教えてくれた。
意味は良く分からなかったけど、
順調に物事は進んでいますよ…との
天界からのメッセージなのだと説明してくれた。
幸運のサインなのだろう・・と思った。
エンジェルナンバーは、
これから起こる僕のスピリチュアルな旅路をしっかりと
サポートしてくれることになった。
それから、数年後には眠りから目覚めた瞬間、
無限に続く数字の333333333…を見ていた。
果てしなく続く、数字の3は、
アッセンデット・マスター達との
深い繋がりを教えてくれる数字だった。
2005年当時の僕は、
まだ、そのスピリチュアルな感覚が目覚める前で、
その不安定で鋭敏な感覚を、
どの様に扱ってよいのか分からずに戸惑っていた。
そして、日を追うにつれ、その感度が増している様に感じた。
*
まだ、僕が、東京の都心に住んでいた頃、
夜中にベッドに入り目を閉じようとすると、
眉間のあたりがムズムズして、どうしようもなかった。
朝、まどろみの中でうつらうつらしていると、
ナイフを片手に暴れている男のイメージが浮かんだ。
ドキリとして僕は、飛び起きた。
今のは…一体何だったのだろう?と思った。
その日の午後、田園調布の駅で
刃物をもった男が暴れているとのニュースを
虎ノ門にある会社のオフィスで耳にした。
僕は何かを…夢で予知したのだろうか?
それとも、偶然だったのだろうか?
とにかく、何か普通でない感覚…
何か、違う感覚が芽生えようとしている、
そんな予感がした。
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